今や電気のない暮らしは考えられないと言ってもいいほど、現代人の生活はさまざまな電気設備に囲まれています。屋内で使用する照明器具や電化製品はもちろんのこと、屋外の広告看板や街路灯、果ては海の底や大気圏外においてさえ、電力を使用した設備や製品が使われているのが現状です。こうしたことから、電気設備に使用される部品や資材はそれぞれ使われる環境に適した特性を備えたものである必要があります。たとえば本来なら屋外で使用することを想定した製品を屋外で使ったりすれば、故障などのトラブルの原因となり得ます。
本来の用途と異なる使い方をしてトラブルになりやすい製品としては、ケーブルを挙げることができます。電力供給や通信のために使われるケーブルは通常、銅線の周囲が合成樹脂で被覆されています。この被覆は屋外用ケーブルであればポリエチレンが素材になっていることが多いのですが、ポリエチレンは紫外線に弱いという特性があります。そのため、屋外で使用するとすぐに劣化してしまい、ひび割れなどが発生して中の銅線が露出し、漏電などの事故を引き起こす原因になります。
屋内用と異なり、屋外で使われるケーブルは耐候性を備えた素材で被覆されている必要があります。同じポリエチレンでも、カーボンブラックと呼ばれる炭素の微粒子を混入して耐候性を高めたものが使われます。カーボンブラック入りの耐候性ポリエチレンは、屋内用の製品と違って外見が黒いのが特徴です。